携帯電話の普及による子供たちへの弊害

携帯電話の普及による子供たちへの弊害

スマホに熱中する子供たち

40代男性からの投稿

 

子どもに関わる仕事をここ20年ほどやってきました。ちょうど自分の仕事の歴史と携帯電話の歩みが重なっていますので、携帯電話の発達とともに、それが子どもの生活にどう影響を与えて来たのかを書いていきたいと思います。

 

携帯電話が出て、子どもが持ち始めたことによって、親等の大人を介さずに連絡を取ることができるようになって、初めに懸念されたのはいわゆる非行系の問題でした。

 

もちろん、そういう子たちは比較的早く携帯電話を持つようになり、自分たちで連絡を取ってつながるようになりましたが、かと言って非行問題が悪化したとか、非行に走る子が劇的に増えたかと言われるとそうではありませんでした。そういう子の家庭は子どもに無関心であったり、迎合的であったりして、子どもの希望するがままに携帯電話を買い与えることが多かったのは事実ですが、それが非行問題に良くも悪くも大きな変化は生みませんでした。むしろ、大きな変化を与えたのは、非社会的な子どもたちの問題です。

昔よりも確実に深刻になりつつある「いじめ」

いじめ

まずは、いじめです。残念ながらいじめ問題というのは過去も今もそして未来もなくなることはないとは思いますが、携帯電話やスマホの登場で問題が悪化したのは間違いありません。

 

大人の知らないところでコミュニティをつくり、そこでの自分たちのつながりを確認するために一人か二人のスケープゴートを作って、みんなでその子をいじめることによって、自分たちの希薄なつながりをより強くしようという構図は確実に悪化しています。それまでは大人の目も気にしていましたし、いじめている子ども同士の横のつながりも家に帰ってしまえばどうにもなりませんでしたが、携帯電話でいつでも連絡を取ることができるようになって、いつでもいじめることができるようになりました。

 

そして、これはいじめる側も常に、次はいつか自分がいじめられるのではないかという不安を増大させることになり、少しでもその輪から外れてしまえばいじめられるかもしれないので、ほとんど誰もが不安を抱えながら同調するという、今の子供の典型的なスタイルが生まれてきました。

 

それに加えて、顔が見えない上でのコミュニケーションということもあって、不安に駆られた子どもたちのいじめは果てしなくエスカレートしてしまうリスクが高いです。また、金銭を要求することも電子マネーであれば、大人の目につかずに実行することもできます。そして、そのような加害や被害が、オンライン上に残り続けることもまた問題となっています。過去の過ちがその人の一生を台なしにしてしまうこともあり、そういう観点でも、いじめの傷は深くなりました。

「ひきこもり」が増える主な原因

ひきこもり

また、非社会的な問題のもう一つに、ひきこもりの問題があります。もちろん、携帯電話やスマホが生まれる前にも、不登校やひきこもりの問題はありましたが、当時であれば、ひきこもっている間に「これはつまらない」とか「〜が欲しい」となれば、自分で外に出ていく必要があり、外に出るきっかけがたくさんあり、我々支援する側もそのあたりからアプローチをかけていました。

 

しかし、携帯電話やスマホが便利になればなるほど、自室でこもっていても、自分の欲求を満たすことができるようになりました。好きなアニメを観たいと思えば、昔であればDVDをレンタルしたり買ったりするために外に出ていかざるを得ないところがありましたが、今ではネットショッピングや、ストリーミングサービスで簡単に買うことができます。

 

性的な欲求を持つことは人間として健康的なことですが、今では自室にこもっていても、簡単に動画を見て満たすことができます。何か欲求を満たすためには外に出ざるを得ない時代から、自室で全て満たすことができるようになったので、ひきこもりから抜け出す動機が減少してしまい、そこから抜け出してもらうことは本当に難しくなりました。

携帯電話による弊害は子供だけの問題ではない

家族の問題

引きこもりの問題とも関連しますが、携帯電話やスマホ無しでは生きられないという、依存症に近い状態の子どもも急激に増え、それへの対応に苦慮しているという保護者の相談も急増しています。

 

携帯電話やスマホを手にすることで、即時的に自分の欲求を満たすことができるようになりました。分らないことを検索して調べることは非常に素晴らしいことですが、子どもの発達や成長には、どこかで我慢することを身につける必要があります。なぜなら、人生において自分の思い通りに全てがうまくいくことはありえないからです。

 

しかし、早期に携帯電話やスマホを与えられ、制限もくわえられず、という状況で育ってしまうと、欲求不満耐性が非常に低いままで大人になっていくことが増えています。もちろん、携帯電話やスマホは非常に便利だし、使い方によっては素晴らしい物です。ただ、それは自分の欲求をある程度コントロールできる人に限ったことだと思います。

 

子どもが自分の欲求をまだコントロールできない段階から、何の制限も与えずに携帯電話やスマホを与え、その後も放置していることで、欲求に弱い子どもたちはその沼にどんどんはまっていくということが今も起きていることを我々大人は、常に意識していく必要があると思います。


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